特定行政書士とは?
特定行政書士とは、行政書士法が平成26年6月に改正され同年12月に施行されたことにより、新しく誕生した行政書士であって行政手続における不服申立の代理権が付与された行政書士のことです。
つまり、一般の行政書士との違いは「行政書士が作成した書面による許認可手続において不許可だった場合または申請したけど行政側から応答がない(不作為)の状態になっている場合」などに行政に対して不服申立ができるという点です。
従来、行政書士はクライアントの行政手続を代理してきたわけですが、クライアントの不服申立を代理することは出来ませんでした。そのため、このような場合は弁護士に依頼する必要がありました。
しかしこれからは、行政書士法の一部改正によって不服申立の代理権が特定行政書士に与えられたことによって、クライアントの代理人として不服申立をすることができるようになりました。
不服申立には審査請求、再審査請求、再調査の請求(現在の異議申立て)の3種類ありますが、ここからは不服申立の原則である審査請求について書いていきます。
特定行政書士が不服申立を代理できる要件
どんな不服申立手続も代理できるのかということですが、ここで注意が必要です。行政書士法第1条の3第1項第2号には「行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する・・・(以下略)」と書かれています。したがって、特定行政書士が不服申立を代理できるのは以下の両要件に当てはまる場合に限られます。
1、行政書士が作成できる書面であること
代理できる例 建設業許可、各種営業許可、産業廃棄物処分業許可、運送事業許可、病院開設許可、農地法による許可、著作権登録、保育所開設の認可 など
代理できない例 裁判所・検察に提出するもの(弁護士、司法書士業務)、法務局に提出するもの(司法書士、土地家屋調査士業務)、特許・意匠などの知的財産権で、著作権と育成者権を除くもの(弁理士業務)、税務署に提出するもの(税理士業務)、年金機構や労働局に提出するもの(社会保険労務士業務)
2、行政書士が作成した書面を提出したこと
代理できる例 行政書士が作成した書面を行政書士が提出した場合、行政書士が作成した書面をクライアントが提出した場合
代理できない例 本人が作成した書類を行政書士が提出した場合、本人が作成した書面を本人が提出した場合
上記1、2どちらかの代理できない例に当たる場合は、特定行政書士が不服申立を代理することができません。ご自分で不服申立して頂くか、行政書士に申請書類の作成を依頼し申請し直す、または弁護士に不服申立の代理を依頼することになります。
不服申立の代理はいつからできる?
特定行政書士が実際に不服申立の代理ができるようになるのは平成28年4月1日からです。
不服申立期間について
不服申立の期限ですが、行政機関から処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月経過前までです。
Q. 不許可処分が1月15日に郵送で届き、封を開けたのは翌日の16日の場合の申立期限は?
A. 不許可処分を知ったのが16日であり、その翌日の17日から3ヶ月までなので、期限は4月16日となります
当事務所の行政書士について
当事務所の行政書士は2名とも、行政書士法改正に伴い日本行政書士会連合会により行われた特定行政書士法定研修のすべてを終了。厳格な試験に合格し晴れて12月4日に特定行政書士となりました。
平成28年4月1日以降からではありますが、「行政書士にお願いしたけど許認可が下りなかったという方、行政書士の方でクライアントが不服申立を希望している場合」などございましたら、一度お気軽にご相談ください。
長々と書いてしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。